CUCグループ 人権方針
CUCグループは『医療という希望を創る。』を理念に掲げ、医療を通じて人の尊厳を守り、その人らしい生き方を支えることを使命としています。
私たちは、病気や障がいの有無にかかわらず、誰もが自分らしく暮らせる社会の実現を目指し、患者様とそのご家族、従業員・役員そして事業活動に関与するすべてのライツホルダーの人権を尊重することを事業の根幹に据えています。
医療の現場では、患者様が自分らしく生きる権利を守ることが何よりも大切です。しかし、経済的・地理的要因により選択肢が制限されたり、十分な対話がなされないまま治療方針が決定されたりするケースも少なくありません。私たちはこうした課題に真摯に向き合い、一人ひとりの意思を尊重し、最適なケアを提供することに努めます。
質の高い医療を支えるのは、携わる人々の情熱と専門性です。患者様が尊厳を保ち続けるためには、医療従事者の権利も等しく尊重されなければなりません。私たちは、医療従事者が誇りを持ち、安心して働ける環境こそが、患者様への深い共感と高い専門性を育み、ひいては医療の質を高めると確信しています。
人権が守られることで、支える人々の情熱が持続し、より信頼される医療が生まれます。私たちは、人々が尊厳を持って生きられる社会の実現に貢献します。本方針を指針として、尊厳を守る医療の未来を切り拓くため、変革と挑戦を続けてまいります。
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1.人権尊重へのコミットメント
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CUCグループは、事業活動を通して一人ひとりが自分らしく、安心して医療を受けられる社会を実現するにあたって、人権の尊重はすべての基盤であると考えています。
私たちは、国際人権基準として「国際人権章典(注1)」に表明されている人権(注2)、および「労働における基本的原則および権利に関する国際労働機関(ILO)宣言」に規定されている基本的権利に関する原則に基づき表明されている人権(注3)を最低限の基準として理解しています。また、国連が定める「ビジネスと人権に関する国連(UN)の指導原則」「OECD 多国籍企業行動指針」に基づき、人権の尊重と促進に努めます。
さらに事業活動を通じて、医療や介護サービスへのアクセスが制限されやすい立場に置かれている方々―たとえば高齢者、障がいのある方、慢性疾患・難病の方、妊産婦・子ども、経済的・地理的条件により医療機関から隔たれた地域に暮らす方、外国籍または言語・文化的背景の異なる方などを含むすべての人の人権を大切にし、その状況改善に向けて努力を続けます。
私たちは、事業活動を行うそれぞれの国・地域において、当該国の法および規制を遵守します。各国の国内法と国際的に認められた人権基準によって要請レベルが異なる場合、また、両者が矛盾する場合には、国際人権基準を尊重する方法を追求します。そして、時代と共に変化する、医療における人権尊重に関するステークホルダーの期待に応えていくことに努めます。
(注1) 世界人権宣言、市民的政治的権利に関する国際規約、経済的社会的文化的権利に関する国際規約
(注2) 子どもおよび若者の権利、男性・女性の権利等を含むすべての人々の基本的権利
(注3) 結社の自由および団体交渉権、あらゆる形態の強制労働の禁止、児童労働の実効的な廃止、雇用および職業における差別の排除
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2.人権方針の適用範囲
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本方針は、CUCグループ(株式会社シーユーシーおよび連結子会社)の役員と従業員が遵守すべき基準であり、同時に当社グループのサービスに関わるすべてのライツホルダーの人権を守る指針として機能します。
私たちは、本方針が適用されるすべての方が理解しやすい形で意思疎通を行うとともに、CUCグループのバリューチェーン全体において、本方針のもとで人権侵害が引き起こされない、また助長されないために最大限の配慮を行います。
取締役会は本方針を承認し、その実施状況を監督する最終責任を負います。また、リスク・コンプライアンス委員会を諮問機関として、医療に関わるステークホルダーとの対話を含めたサステナビリティ方針・コンプライアンス風土浸透のための方針を確認し、人権に関する活動を持続的に監督します。人権侵害への直接的または間接的な関与を回避するため、取締役会は合理的措置の実施を確保します。
一方、本方針の執行責任はサステナビリティ担当役員が負い、株式会社シーユーシーのサステナビリティ所管部署がその実務を担当します。サステナビリティ担当役員およびサステナビリティ所管部署は本方針を率先して推進し、その実施状況を定期的に取締役会に報告します。
CUCグループで働くすべての従業員は業務上のいかなる人権侵害からも保護される対象です。 私たちは医療サービスの提供における人権侵害への直接的または間接的な関与を回避すると同時に、すべての従業員が本方針を尊重することを期待し、相談対応・救済・是正などを含む適切な仕組みを整備し、継続的な改善に努めます。
私たちは、患者様の人権をより尊重する方法を追求し、医療サービスを進化させていきます。また、医療機関、介護施設、取引先企業やサプライヤー、業務委託者を含む私たちのビジネスパートナーに対しても、本方針に従って行動することを期待します。また、ビジネスパートナーによる人権への負の影響に対処するための仕組みづくり、影響力の発揮に努めます。
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3.人権尊重の取り組み
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私たちは、「国際人権章典」および「労働における基本的原則および権利に関するILO宣言」を支持し、医療の現場においてもこれらの原則を尊重します。
(1) 国際基準の尊重
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当社は、患者様とそのご家族、当社の従業員・役員、ならびに当社の事業活動に関与するライツホルダーが互いに尊重され、安心できる環境の維持を目指します。この目的のため、あらゆる形態の差別、ハラスメント、暴力を禁止します。
(2) 差別・ハラスメントの防止
企業活動においても、階級、人種、肌の色、性別、言語、民族、宗教、ジェンダー、年齢、政治的・その他の意見、国籍、財産、性的指向、性自認、障がい、出生、疾病などを理由とした差別を認めません。 -
当社は、医療に関わるすべての人々の権利を守るため、いかなる形態の強制労働、過度な労働時間、人身売買、児童労働、いじめ、不当な扱いを認めません。また、職場環境の改善に努め、安全で健全な労働環境の確保を目指します。
(3) 強制労働・児童労働の排除
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働く人が誇りを持ち、安心して継続的に活躍できる環境を整えます。適正な労働条件の提供、安全で健康的な職場環境の確保に努めるとともに、ワークライフバランスの充実を支援します。
(4) 労働環境の整備
また、同一労働同一賃金の原則を尊重し、公正かつ透明性の高い賃金体系を確保します。 -
医療関連施設の運営において、土地の権利や地域住民の健康・安全に影響を与える可能性を認識しています。私たちは、関連法令の遵守はもとより、施設の開設・拡張に際しては、事前に自治体やコミュニティとの適切な説明・協議を実施し、地域社会との共存を図ります。また、地域住民の健康と安全を最優先に考慮した事業運営を行います。
(5)土地の権利・地域住民の健康安全
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4. 実施・運用
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事業活動が及ぼす人権への影響を評価し、CUCグループの事業活動を通じて権利保有者(患者様、そのご家族、医療従事者、役員・従業員、ビジネスパートナー、地域社会)の人権への負の影響が生じた場合に公正かつ公平な救済措置をもって適切な対応ができるように、以下の取組みを継続的に行うよう努めます。
(1) 人権デューデリジェンス
- ① 人権への負の影響の特定・評価
- ② 人権への負の影響の防止・軽減
- ③ 対応の実効性のモニタリング
- ④ 情報開示
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(2) 相談・救済の仕組み
CUCグループは、一般に公開された内部通報窓口を設置しており、患者様・従業員・医療従事者などあらゆるステークホルダーが人権に関して匿名で相談できます。
私たちは、潜在的な人権への影響に対応するため、事実確認、問題解決、再発防止施策の検討、事後状況の確認までを一貫して行うことを目指します。また、善意に基づく問題提起が行われた際には、報復が行われることのないよう十分に配慮し、人権侵害を受けた方が救済を受けられるように誠実に対応します。
医療現場における人権リスク評価および対応を検討する場として、株式会社シーユーシーのリスク・コンプライアンス委員会にて内部通報窓口に届く人権侵害に関する通報件数および傾向を定期的に確認し、深刻な侵害に繋がる可能性のある事案に対しては適宜対応策を取締役会の監督のもと議論できる体制を整備しています。
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(3) 教育・啓発
CUCグループは経営者と従業員の約束として「一人ひとりが働きがいを感じ、夢や理想に挑戦できる環境を実現する。」というCUC Partners Promise を策定しています。 医療従事者からビジネス職まで多彩な職種の人々が集い、国内外にチームワークを広げる企業グループとして、一人ひとりが理想をあきらめずに挑戦できる環境を提供します。CUCグループで働くすべての人々のその人らしい生き方・働き方(ディーセントワーク)を尊重します。
また、すべての役員・従業員に対し、人権に関する研修や啓発活動を実施し、組織全体での理解と行動を継続的に高めます。
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5.開示と報告
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人権に関する取り組みや進捗状況を定期的に開示し、透明性のある情報発信を行います。私たちは、本方針の実施状況をコーポレートサイトにて公開するよう努めます。情報を開示することで、社会からのフィードバックを得る機会とし、さらなる取り組みにつなげていくことを目指します。
本方針は、サステナビリティ担当役員をはじめとする経営陣のリーダーシップのもと、CUCグループの組織全体で実践し、より良い社会の創造に貢献していきます。
事業活動において権利保有者(患者様、そのご家族、医療従事者、役員・従業員、ビジネスパートナー、地域社会など)の人権に対するコミットメントを実現するために、すべての役職員のほか、ビジネスパートナーの皆様を含む全てのステークホルダーに対して本方針の浸透を進め、人権啓発活動の積極的な推進を図るように努めます。