多角的に事業を展開してきた医療法人様が、「事業の選択と集中」という経営戦略の転換期を迎え、中核事業である病院運営にリソースを集約するため、併設する介護老人保健施設の譲渡を決断されました。
譲渡の背景
譲渡企業様は、神奈川県で病院と介護老人保健施設を長年運営されており、地域医療・介護の中核的な役割を担ってきました。一方で、医療と介護の両軸での人材確保・設備投資の負担が年々増加し、経営陣は「限られた経営資源をどこに集中すべきか」という課題に直面していました。
検討の結果、病院事業に経営資源を集中し、介護老人保健施設については理念・サービス品質を維持したまま承継できる先へ譲渡するという方針を決定。当社にアドバイザリー業務のご依頼をいただきました。
M&Aプロセスのポイント
1. 譲受候補の選定
地域医療・介護ネットワークを広く持ち、既存スタッフの雇用継続と利用者様のサービス継続を確実に担保できる先を条件に、10社以上の譲受候補を精査。最終的に、全国で医療・介護事業を展開する大手医療グループ様をお相手先としました。
2. デューデリジェンスと条件交渉
介護報酬改定リスク、人員配置基準、施設設備の更新計画など、介護特有の論点を整理し、譲渡価格およびクロージング条件を詰めました。
3. 従業員・利用者様への丁寧な説明
クロージング直前まで情報管理を徹底した上で、従業員説明会・利用者様ご家族への告知を段階的に実施。混乱を最小限に抑える形で承継を完了しました。
成果
- 病院事業への経営資源集中が実現
- 介護老人保健施設の全従業員の雇用を継続(待遇据え置き)
- 利用者様へのサービス提供体制を中断なく維持
担当アドバイザーコメント
医療法人による介護老人保健施設の事業譲渡は、一般的なM&A以上に、手続き面と実務面の難易度が高い案件です。
今回は、譲渡条件の整理や価格交渉だけでなく、許認可や届出、行政との調整、従業員承継、利用者様対応まで、多くの論点を並行して管理する必要がありました。特に、情報管理を徹底しながら、現場の混乱を起こさずにクロージング日から逆算して一つひとつの工程を組み上げるスケジュール管理が極めて重要でした。
事業譲渡は、契約を締結して終わりではなく、行政対応や現場移行を含めて初めて完結します。今回は、譲渡企業様・譲受企業様双方が地域医療・介護の継続を最優先に考えられていたからこそ、複雑な実務を丁寧に乗り越え、利用者様へのサービス提供を止めることなく承継を実現できたと考えています。